モータースポーツ配線のあれこれ 自動車配線入門 パート7「MIL端子は配線構築の新常識」
前に書いた第6回目ブログで画像アップロードミスが数枚あり、抜けていたのを最近知りました。訂正しておきましので気になる方はご覧ください。
さて…少し間が空いた気もしますが、「ハンダを使うな!」を合言葉に日本に配線ブームを巻き起こそうと奮闘するEFI配線ブログ第7回目、そろそろ自慢のハンダステーションを下取りに出し圧着ペンチの購入に乗り出した愛好家も多いのではと妄想しています。
どこまでもマニアックになっていくEFI配線講座、前回のオープンバレル端子から引き続き今回はMIL端子、クローズドバレル端子(以下ソリッド端子)のお話にしようかなと思います。
昨今においての自動車配線、モータースポーツ配線構築にソリッド端子を使用したカプラーを使用する事はほぼ当たり前と言って良いほど一般化しています。
画像はソリッド端子を使用するMILコネクターです。
m800端子やスタンプDTM端子の様に複数回以上の脱着を許容できるオープンバレル端子コネクターも稀に存在しますが、MILコネクターの様にソリッド端子を使うコネクターの殆ど全ては脱着を前提とした製品です。
画像はDTMコネクター用のニッケルメッキ端子です。DTMには金メッキとニッケルメッキにそれぞれソリッドとオープン端子があり、さらに通常サイズ18~22AWGの端子と16~18AWGを使う端子があります。
一回り大きいDTコネクターも16~20AWG端子と14~16端子にニッケル、金メッキとそれぞれ存在するので使用する箇所や部品に応じて使う端子を変える事で対応します。
オープン端子との大きな違いは作業性の良さです。専用工具で定圧圧着されるソリッド端子は同じく定圧機能を持つ工具でオープンバレルを圧着する場合に比べても圧倒的に作業ミスを減らす事が出来ます。
画像の工具はAWGサイズに合った所にダイヤルをセットする事で一定圧での圧着が可能です。
工具の頭に付く出っ張りは端子位置を調整するポジショナと呼ばれる物で端子に合わせて交換が必要な専用ポジショナー、ネジを回す事で位置決めをする汎用ポジショナーと固定式の専用ポジショナーとタレットと呼ばれる3種類の端子に対応した物があります。
厳密にはちょっと違うのですが大型が8インデントツール、小型の物が4インデントツールとEFIでは区別しています。22AWG以上のサイズは配線強度から見ても8インデントは必要無いので4インデントツールを使うエンジニアが多いです。
DTM端子とモータースポーツ配線に使用するMILコネクター端子はほぼ準じている為、汎用ポジショナーや同じタレットヘッドで圧着が可能です。
ASコネクターを使う場合はそれぞれに専用ポジショナーとDTM端子とは違ったタレットヘッドが必要になります。
下の画像はツールによる圧着具合の違いです。
大型の2インデントもあります。ボルトクリッパーによく勘違いされます。。。
EFIのDTMスターターキット付属工具は20AWGと22AWGを定圧で4インデント圧着出来る様に設定されています。
EFIには在りませんがサーキット等現場で使う小型シングルインデントツールも存在します。
DT、DTM、DTPと各種MIL端子に使える「DTMクリンパー」これ一本持っておけば取りあえず大丈夫って感じの立ち位置かなと思います。8インデントなので太い配線でも安心して圧着できます。なんと奇遇な事にEFIオンラインでの購入も可能です……
ソリッド端子自体は種類が非常に多く工具の種類も多いのですが、自動車配線、モータースポーツ配線に使用する端子はある程度定石があるので、オープンバレル程沢山の工具を集めなくても対応出来るのが良い所の一つです。
圧着は作業者の技術力もそうですが知識が仕上がりに大きく関わってくる作業です。間違った工具で間違った圧着をしない様注意しなければいけません。
HD種を除くAS系コネクターとDT系、一部MILコネクターに対応できる圧着工具セットであればEFIでは40万程と格安でご用意する事が出来るのでワイヤリング、配線構築にご興味のある方はお問合せください。
次回は「圧着と端末処理」を予定しています(__)