EFI-Techno × LOG

エンジンオーバーホール作業、コンプリートエンジン製作工程、ハーネス製作、ECUセッティング、ダイノジェット製シャーシダイナモを使用してのパワーチェックなど日々の作業内容をご紹介していくブログです。

EJ207 精密エンジンオーバーホール コンロッド ピストン バランス合わせ作業

粗々と部品が揃い始めたのでGDBEJ20作業を進めました。

今回は鍛造ピストン、Hコンロッドで制作です。

両方manley製です。お手頃コンロッドメーカのイメージもありますが、上級グレードはキャレロ位の価格になるのでふり幅の広いメーカと言えます。

まずはピストン重量をはかります。。。1グラム差程でまずますかなと。。

f:id:efi_technologic:20190423195737p:plain

海外コンロッドの殆どは重量の近い物をセットで販売していて、ピストンとの組み合わせで結構いい線にもっていける事が多いです。。。例外もありますが。。

 

f:id:efi_technologic:20190423194032p:plain

箱を開けた時の印象はけっこうばらばらで来たなと思いました。

とりあえずロッドバランサーで重量を確かめます

f:id:efi_technologic:20190423194303p:plain

かなり前に書いた気もしますがコンロッドは他のパーツと違い単体の総重量だけで重量バランスを取る事はありません。

簡単に考えると「重いピストンに軽いコンロッド」「重いコンロッドに軽いピストン」っていうのが誰もが思いつきやすい合わせ方ですが実際の所コンロッドはピストンピンの入る往復運動部「スモールエンド」とクランクピンが入りクランクと同じ回転運動部になる「ビックエンド」の重量を別に考えなければいけません。

つまり「軽いスモールエンドに重いピストン」が組み合わせ的には正解です

 

…………が、「スモールエンド」が軽くても重いコンロッドの場合「重いピストンと重いコンロッド」の組み合わせとなってしまい「総重量とビックエンド重量」が揃いません。クランク単体バランスは良くても、ビックエンドをクランクの一部と考えるとバランスのとれていないクランクになってしまいます。

 

それをちょこちょこ量りながら揃えるのが「重量バランス」と言われる作業です。

 

f:id:efi_technologic:20190423200206p:plain

 

ショットの掛かった社外コンロッドは本当は削りたくないのでピストンを削って合わせる方が多いのですが、今回の組み合わせでは3グラム程ズレている組み合わせが出来てしまったのでさすがに無視出来ずコンロッドを削りました。

 

f:id:efi_technologic:20190423200712p:plain

バランスOKです。

少しの違いに感じますが、運動中のピストン、コンロッドには数千Gの慣性力がかかる為、数グラムの違いが結果数十キロ単位の違いとなります。

振動の少ないスムーズなエンジンを目指すには必要な作業です。

目標としてはそれぞれの箇所で±0.5グラム以内であれば良いかなと思います。

この時点でコンロッドの行き先が決まるのでここからメタル合わせに入ります。