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エンジンオーバーホール作業、コンプリートエンジン製作工程、ハーネス製作、ECUセッティング、ダイノジェット製シャーシダイナモを使用してのパワーチェックなど日々の作業内容をご紹介していくブログです。

モータースポーツ配線のあれこれ 自動車配線入門パート6 これから圧着の話をしよう。

さて始まりました「モータースポーツ配線あれこれ」じわじわと配線好きが増えているのではと期待する6回目、今回はテーマは圧着と端子です。

自動車配線ではAーB間に何の障害が無いとしても両端末にはコネクター端子か圧着端子がほぼ間違いなく付きます。そして圧着においてもハンダと同じ様にトラブルになる箇所は施工部分です。圧着と言う技術がいかに優れていても施工を失敗すればそれはハンダに劣る技術に成り下がってしまいます。

理想を言えば使う端子を1、2種類に限定する事でミスは無くなると思うのですが、色々な制約から多くの場合無理でしょう。

画像はハーネス制作時に使う端子の一部です。確認しにくいですが10種類程写っています。形状的には純正カプラー等に使われる物で「スタンプ」「連結」といった通称を持つオープンバレル構造端子。見たまんまですが、圧着箇所の上部が開いている物を指します。

 

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そういう意味ではギボシも同類なのですがギボシは基本的に走行に係る大事な所に使う物ではありませんので自動車配線の構築には使いません。

純正カプラーに使われる端子のほぼ全てはオープンバレル端子なので全ての部品をフライングリード等に加工しない限りは必ずオープンバレルを使う事になります。

 

もう一つは「ソリッド」「バラ」「MIL」と言った通称を持つクローズドバレル構造の端子です。DTMカプラー等モータースポーツ用途に使われるカプラー多くはこの形状の端子を使用しています。

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下記画像はフライングリードに加工中のインジェクターです。配線終端にソリッド端子が使えるカプラーを付けます。

 

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オープンバレル、ソリッド共多くの種類がありそれぞれに専用の工具が在るのですが、専用工具を使わないと圧着出来ないソリッド端子に対してオープンバレル端子は多くの場合汎用工具でも圧着が可能ですし、純正カプラーに使われる端子種類はかなり多い為一個数万~数十万する専用工具を全て揃えるのは現実的ではありません。

 

 

 

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上の画像はEFIで使っているオープンバレル用の圧着工具達です。端子圧着部分のサイズを測り調度良い具合になる工具を選択します。交換用のダイスを含め10種類程ですが、国産のエンジンハーネスに使う端子ぐらいであれば概ねカバー出来ます。

圧着が難しいのは端子とワイヤーサイズから最適な工具を選択する知識や環境が多くのお店、工場に用意出来ていない事に起因しています。

 



実際同じ形に見える端子でもサイズに種類があったりするので本番前に圧着テストを行い問題の有無を確認します。

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上記画像の端子はmotec、ハルテック、LINK等のミドルクラスECUに使われているAMPコネクター用の通称m800端子と呼ばれる物ですが圧着部分の大きさに違いがある事がわかります。サイズ1とサイズ2があり、使うワイヤーサイズで端子を使い別けしなければ正しく圧着する事は不可能です。

 

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EFIではオープンバレルの場合m800端子を一番多く使うのでこれだけ専用工具を使っています。画像の工具はTEの汎用フレームにM800端子用のダイスを組み合わせた物です。

オープンバレル端子圧着の良否は正しい組み合わせの部品を適切な工具で施工出来るかにかかっています(多少のテクは必要ですが……)

 

ボルトヘッドによりソケットやレンチサイズを変えるように端子にあわせ工具を変える事で正しい作業が出来るようになります。電工ペンチ1本でする配線作業はモンキーレンチだけでする整備と同じだと言う事を作業者は理解しなければいけません。

 

さて今回はオープンバレル端子を中心に書きました。実際は今日書いた以上に奥が深い部品ですがそれは又の機会に。。次回は「クローズドバレル端子」について書いてみようかと思います(__)