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エンジンオーバーホール作業、コンプリートエンジン製作工程、ハーネス製作、ECUセッティング、ダイノジェット製シャーシダイナモを使用してのパワーチェックなど日々の作業内容をご紹介していくブログです。

モータースポーツ配線のあれこれ 自動車配線入門パート5 「ハンダでも大丈夫?」

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5回目を迎える「モータースポーツ配線のあれやこれ」前回は電線同士の接続にハンダは不向きって事を書きました。

しかし、多くの方がハンダを使い、「問題になった事が無い」方も少なからずはいると思います。

「問題にならない」理由の一つに「走行状況」があります。趣味の車で「走行距離が少ない」や「ゆっくり街乗りしかしない」って車は「問題になった事がない」って言う車は比べる対象として適してないので今回は外します。

 ※記事内でのハンダは電線同士を「はんだごて」を使用した電線同士の接続方法を指します(ハンダスリーブ等や電線と端子の接続は含みません)

 

さて、確率的な話にもなるのですが電線同士の接続にハンダを使い問題になった事がない方の多くは、接続している本数が少ないからです。

ハンダを愛用するであろう多くの方は純正配線の加工や修理にハンダを使用しているのだと予想しますが、自動車全体で1000以上はある接続箇所のほんの一部をハンダで接続しているだけです。

ハンダ接続箇所を増やせば「何処かでトラブルになる可能性」は増えます。

あとは数百本をハンダで接続して「ハンダ処理が完璧」でトラブルが出ていない。レアなケースもあるのかなと。。。聞いた事はありませんが……

 

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画像のようなNASAマニュアルにあるハンダスプライス方法ならばハンダでも良いのかなとも思いますが、それなりの技術は必要そうです。ちなみにハンダ処理後、画像の様に、電線が吸ったハンダ終端が判別可能でなければいけません。この後専用の収縮チューブで処理します。

 

 

圧着での電線接合と言う技術は振動の多い軍用機、車両等で接続部の断線トラブルを無くす事や作業効率アップの為第一次大戦後開発が進んだと聞いています。

 

誰が作業しても同一の性能を発揮させるには、ハンダより圧着の方が優れていると言う事が自動車配線でハンダを使用しない理由の一つです。

ではなぜハンダより容易で優れた「圧着」と言う技術を押しのけ、信仰に近い信頼性を一般的にハンダが得ているのか?

 

おそらく理由は「圧着も難しいから」………です。。

ホームセンターや町の工具屋さんでさえ、サイズ、用途の違う圧着ペンチ、電工ペンチをそこそこの種類扱っているように端子形状により必要な工具は違います。

ちょっと大げさですが「端子の種類だけ専用工具がある!」って考えてよいです。

画像の圧着ペンチは一般的に使われるターミナルをカシメる為の物ですがそれでも6種類のダイスが付いています。

f:id:efi_technologic:20190309185907p:plainダイスの説明欄に使用する端子とワイヤーサイズが書いてあります。

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オープンバレル端子にも一応使えますが、ほぼ圧着端子用です。小型のリング端子等に使います。

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上部が解放されていない圧着端子は一見簡単そうですが、なんとなく「潰せばOK」的な風潮があるせいか、自動車業界では絶縁端子を裸端子工具で潰して絶縁効果を薄くしている人が多いです。。。åçã®èª¬æã¯ããã¾ããã

絶縁端子はMSDとかに良く付いてきます。

他にも絶縁端子工具でギボシを潰したり等、知識不足や持っている工具で場当たり的に行う電線処理、間違った圧着電材選択、圧着後処理の甘さがトラブルを引き起こします。

「適当な圧着」VS「適当なハンダ」だと互角勝負なのですが、作業者意識の違いなのか多くは「適当な圧着」VS「しっかりハンダ」の勝負になる為、短期的に見る故障原因にハンダが少なくなるのでハンダ信仰を生むのかなと予想しています。

 

ショップレベルの自動車配線構築が一般的ではない日本ではエンジンハーネスやボディハーネスを新規で作る事も少なく、数多くの接続を必要としていないのでハンダトラブルが多くおこらない大きい理由だと思います。

今ほど容易にカプラーなどが手に入らない頃は「ハンダ」を多用したエンジンハーネスの新規作成をしていましたが、十数年で3、4度ほどハンダ関連のトラブルを記憶しています。運良く?どれも走行出来る状態だった事とECUエラーが残っていたので気づく事が出来ましたが、出来上がった配線内部のハンダ不具合箇所を探すのは制作者でも大変でした。

これから新規制作を志す方はぜひEFIブログで「しっかり圧着」を覚えてトラブルフリーの配線構築を行ってください。笑

åçã®èª¬æã¯ããã¾ããã

 

次回はハンダを離れて「自動車に使う端子あれこれ」をお送りする予定です(__)